作品内容
作品内のセリフ
1ページ目
- えー......
- それでは
- レナさん
- まずは自己紹介をお願いします
- はい!
2ページ目
- レナです!
- 職業はプリーストで前のパーティでは治癒職をやってました!
- 剣と魔法とハローワーク
3ページ目
- 治癒職ねぇ……
- はい!
- 聞くけど
- なんで前職辞めちゃったの?
- ええと……それはその……
- 君も知ってるとは思うけどさ
- 最近は回復アイテムの発達と低価格化がめざましい
- 『並の治癒職を雇うくらいなら前衛を増やした方が効率が良い』
- って世の中に変わってきてるんだよね
- うう…
- ま
- それを踏まえた上で…
- あなたは何ができますか?
4ページ目
- で
- 『今後益々のご活躍をお祈り申し上げます』だって
- 祈るのはこっちプリーストの仕事なんだよッ!!
- 姉ちゃん良い飲みっぷりだねぇ
- ※ノンアルコールです。プリーストと未成年の飲酒は固く禁じられています。
- 前のパーティをクビになって早一ヶ月……
- 全然次の就職先が見つからない…!
- 何よアルト〜〜愚痴くらい言わせてよ〜……って
- ちょっ…ちょっとレナ落ち着きなよ
- このままではニートになってしまう……
- よく見たらそのクマどうしたの!?
5ページ目
- その…
- 今のパーティでは僕が一番若いし…そもそも商人ってあんまり戦闘の役に立たない職業でしょ?
- アルトは子供の頃からマジメだったもんね〜
- あはは…
- スライム37匹で185G…
- 先輩から「若い頃の苦労は買ってでもするもんだ!!」って事務仕事を任されていつも夜遅くまで…
- それ騙されてるよ!?
- よし…ちょっとこっち向いて!
- え?
- ライフヒール!!
- おおっ!?
- ふぅ…
- わっ…
- すごい楽になった!
- レナ、ありがとう!
- えー?お礼なんていいって
6ページ目
- 肉体へのダメージは癒せても疲労は完全には取れないからね!
- ましてや精神的なダメージは別問題だから!
- まっこちとら魔力なんてあり余ってるからね〜このくらい安いもんよ
- あはは…
- 冗談言ってないで明日も就活がんばらなきゃな〜……
- 私の精神ダメージも癒やされたいもんだわ
- レナ…
- あの…
- ひとつ提案があるんだけど
- 次の日
7ページ目
- でも本当によかったの?就活手伝ってくれるのは嬉しいけど...
- 一ヶ月ぶりの休みなんでしょ?
- もちろん!
- お礼がしたかったし...僕も就活はしたことあるから何かレナの手伝いができるかなと思って
- アルト...
- もうちょっとがんばってみるよ
- .........
- ありがと
- 実はね...
- ちょっと心折れそうだったんだ
8ページ目
- あ、目的地に着いたよ!
- おぉっ!
- まずは適職診断をしてみるんだ!
- 自分の得意なことが分かってた方が方針も立てやすいからね
- ≪やさぐれプリースト≫
- 治療術師
- 素早さ
- ここは……
- 『占いの館』……?
- えーとなになに…「見慣れないモンスターに遭遇したらどうしますか?」
- 「ガンガン行こうぜ!!」……っと
- 「世界の半分をくれてやると言われたらどうしますか?」
- 「残りの半分も要求する」…っと
- …………
- なるほど…!占いで能力を調べてもらうのね!
- いえ、この紙にある50の質問に答えていただきます
- あんまり 占い要素 ないな…
9ページ目
- 数十分後
- これ何回やっても向いてる職業が吟遊詩人って出るんだけど!?
- これクリエイティブな才能があると見せといて『働くの向いてない』って意味のやつじゃない!?
- 仕方ないと思うなぁ…
- 診断のことは一旦忘れよう!次は面接だ!!
- おーっ!
- よーし行ってきます!
- がんばって!
- 今回は要項に『私服OK』って書いてあったのよね〜
- 気楽だし毎回こうでいいのにな
- 待遇も悪くなさそうだし大手だから治癒職を雇う余裕もありそうだね
- 待合室
- パートをご希望の方はこちら
- 緊張するなぁ…
- 失礼しま……
10ページ目
- パーティ参加希望者面接会場 先頭 待合室
- すッ......
- 完全装備〜〜〜
- 話が違う!!!
- ちょっとそこの方〜
- うわっ
- はい!?
- ん〜〜??いやいやいやいや......
- 逆に聞きますけどねぇ.........
- もしかしてそんな格好で面接に来られたんですか〜〜〜?
- え......だって私服でOKって......
- 装備もしてない冒険者さんが......
- いったい何をど〜〜〜やってアピールするんですかね〜〜〜??(笑)
11ページ目
- ううっ……うううっ……ぐすっ
- そっか……それは理不尽でつらかったね……
- 着替えた
- うう……わたしがプリーストじゃなくてウィザードだったらあんなヤツ燃やし尽くしてやるのに…
- それはやめてね?
- き…気を取り直して次へ行ってみよう!
- 次も大手のパーティで…今度は集団面接らしいよ
- 集団面接…!
- 複数の就活生が同時に面接を受けるやつよね
- 面接官
- 就活生A
- 就活生B
- そう!他の人の言葉に惑わされないよう気をつけてね
- 面接会場 こちら
- 連続で大変だけど…落ち着いてがんばってね
- うん、ありがと!
- 行ってきまーす!
- ではまずそちらの方からお願いします
- はい
- あれ?あの人…
- とりあえず問題なく面接を開始できたぞ…!
- えー…まずは順番に自己紹介をしていただきます
- 前に同じパーティだった人だ!
- フレデリックと申しますえーと僕は……
12ページ目
- リーダーをやってました
- ええっ!?
- なにか?
- い、いえ…
- いやだってあんた……
- 馬車の守り人だったじゃない…!!
- クラスは何を?
- えーとソードマスターを少々…
- ショートソード持って「重たすぎて無理」とか言ってたじゃない…!!
- それでは次の方ー
- はい!私もリーダーをやってました!!
- 討伐で賞を頂いたこともあります
- えー!?
- みんな盛りすぎでは…ていうかお前らもう自分でパーティ作れよ!!
- それでは次の方ー
- 次の方ー
- はい!私もリーダーをやってました!!
- 海外パーティへの留学経験もあります
- ええぇー!?
- はッ
- はいっあの……
- わたッ私はプリーストを……
13ページ目
- ううっ……うううっ……ぐすっ
- ま、まぁ…そんな嘘つき合戦に勝ってもダンジョン行ってから困るだけだよ…
- うう……ダンジョンであいつらが野垂れ死んでるのを見つけて勝手に蘇生して大金をふっかけてやる……
- それはやめてね?
- 倫理的に
- 今日はもうMPが尽きそうだから次で最後にする……
- そ、そうしよう…
- えーと…
- あ、次はカジュアル面接らしいよ
- ギルドの片隅を面接会場にして1対1で気軽にやるらしいからとりあえず面接自体は普通に出来そうだね
- それだけでも今日の中ではずいぶんマトモに聞こえるなぁ…
- 僕もあとでこっそり様子を見に行ってみるよ
- だから…
- もうがんばれなんて言わないから…
- とりあえず面接を無事に終えられますように…
- そうだね…
14ページ目
- お、あれかな?
- …で、うちはアイテムを使わない攻略を心がけてるからどうしても治癒職は必要なんだよね〜
- 本当ですか!ぜひお役に立ちたいです!
- よかった、雰囲気も良いしこれは行けるかも…?
- じゃあ次は実際に魔法を見せてもらおう!試しに回復魔法をかけてみてくれる?
- わかりました!
- よーし…
- ライフヒール!!
- おぉっ!?
- ………?
- これ…
- 初級魔法にしてはいくらなんでも威力が高すぎない?
- すごい!!体中に力があふれてくるぞ!!
- やった!!いかがですか!?
- わかる!僕もあれのおかげで元気になったんだ
- もしかして
15ページ目
- 「過剰回復(オーバーヒール)」持ちなんじゃない?
- オーバー.........ヒール......?
- 反応を見るに…どうやらあってるみたいだね
- ……
- 僕も話で聞いたことしかないけど…
- たしか…『過剰回復(オーバーヒール)』持ちの治癒職が使う回復魔法の威力はすさまじくて体力の限界を超えて回復できるけど…
- 代わりに魔力を調節できず大量に消費してしまう…魔力がすぐに尽きてしまうという大きな欠点があったはずだ
- 悪いけど…
- うちのようなパーティには合わないし…何よりそんな大事な事実を秘密にするような人は信用ならないな
- レナ………
16ページ目
- ...昔からコンプレックスだったんだ
- 子供の頃は隠せてたんだけどね
- 冒険者になってからは「使えない」って馬鹿にされて、逃げて.........
- 前のパーティをクビになったのもホントはこれがバレたのが理由なの
- ...隠し通せるわけないのにね〜!付き合わせてごめんね!
- ...わたし冒険者向いてないのかなぁ...
- レナ......
- .........わかった!
- え
17ページ目
- 向いてないんだ!!!
- えぇーッ!!? ひどくない!?
- たしかに自分で言ったけど…え?やっぱり吟遊詩人?
- あっ、違う違う
- とても単純なことなんだ…
- でも僕の考えとレナの考えは違うかもしれない
- だから一つだけ聞かせて
- レナが本当にしたいことは何?
- 私の……
- 本当にしたいこと……
18ページ目
- 準備よし……と
- 行ってらっしゃいお父さん!
- それじゃ行ってくるよ
- レナ5才
- あっ…ちょっとまって!
- うん?
- 強化魔法(エンハンス)!
- おおっ!!
- レナの魔法はすごいな!さすがは俺の娘だ!
- えへへ…
- わたし、もっと魔法の練習して…
- もっともっとお父さんの力になれるようがんばるね!
19ページ目
- そっか......
- 私...元々はただお父さんの力になりたくて...
- 僕も今日レナと一緒にいて思い出したことがあるんだ
- 僕が商人になったのは自分の店を持ちたかったからなんだ
- でも下積みの商人には何の力もない...だから冒険者パーティに入るしかなかったんだ
- 自分の店を持ちたい理由なんて忘れてしまってたけど...でも今日それを思い出せたんだ
- レナの手伝いをしてたらね
- !
- 僕の夢、それは───
- 私が本当にしたいこと、それは───
- 冒険者を助けること!
20ページ目
- すいませーん
- このポーションください
- はーい!
- ありがとうございます!
- 生命力強化ポーションですね
- ごめんお客さんお願いできるかな
- あっはいはーい!
- いらっしゃいませ!
- ――あの翌日、アルトがパーティに辞表を出してきた
- 『辞表を叩きつけて走って逃げてきた』というのがとても彼らしくて笑ってしまった
- そして私たちは
- 小さなお店を始めた
21ページ目
- 売るのは生命力や腕力などのステータスが向上するポーションだ
- それも世間に流通しているような一般的な効力のポーションではない
- アルトが商人として培った目利きでポーションの良質な材料を仕入れて
- 私が「過剰回復(オーバーヒール)」による強力な魔力を注ぎ込んで作ったポーションだ
- お互いの長所を最大限に活かした完ペキな作戦!
- 私たちは冒険者は辞めてしまったけどお互いに「冒険者を助ける」という目標を叶えることができた
- ありがとうございましたー!
- ふ〜〜結構売れたね
- 「よく効く」ってお客さんから評判だよ!レナのおかげだね
- ううん…あの時アルトがいてくれたおかげだよ
22ページ目
- もしも私だけだったら…
- …今頃どうしてただろうね
- ーね、アルト
- 何だい?レナ
- これからもよろしくね!
- あ、そういえば裏通りに新しいポーション屋ができたってさっきのお客さんが言ってた
- えぇ───!?
- 負けないようにがんばらないとね
- そして私たちもお互いに助け合って生きていくんだ
- …そうだアルト今から新商品の開発しようよ!
- えっ今から!?もう疲れたよ〜…
- ほらほら回復してあげるから!
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